書面と契約の成立
準拠法:契約の効力の準拠法







書面と契約の成立、準拠法:契約の効力の準拠法を説明する前に、国際取引の解釈につて説明する。











国際取引の解釈

契約の解釈は、原則的には、契約の効力の準拠法によるべき問題である。しかし、例外的に、契約用語の言語所属国法が
補助準拠法として適用される場合があることは上述の通りである。

契約の効力の準拠法につき、単一指定説か分割指定説のいずれの立場をとるかにより、契約の解釈に差異を生じることがあるので
注意を要する。



すなわち、単一指定しか認めない立場に立てば、契約中に当事者が契約の効力の準拠法として契約の成立の準拠法以外の
法律を指定している部分については、実質的指定を行ったものと解され、契約の効力の準拠法(=契約の成立の準拠法)に違反しない限度において、
当事者による実質的指定に従って契約の解釈が行われることになる。

分割指定を認める立場では、当事者による契約の効力の準拠法の指定を抵触法的指定か実質法的指定に分けて、
それに応じた契約の解釈が必要となる。
従って、いずれの立場に立つかにより、契約の解釈に差異を生ずる場合がでてきることがある。

以上が、国際取引における契約定義であり、国際取引の契約解釈である。 (国際取引法要説より抜粋)









準拠法:契約の効力の準拠法


国際取引契約については、その成立のために契約書面を必要とするかが問題となるところであるが、
問題の解決のためには、判断の基準となる準拠法の決定が必要となる。

この場合の準拠法は、契約の実質的成立要件に関するものであるから、契約の成立の準拠法によるべきであり、
契約の方式の準拠法によるべきではないと解される。

契約の成立につき契約書面を必要とするかの問題は、契約の問題と考えやすいきらいはあるが、
法律行為の手続と実体を区別した上で、実体の形式的成立要件をもって方式であると解すべきであるから、契約の実質的
成立要件である契約書面の要否の問題は契約の方式の問題ではない。




準拠法
(1)日本
国際取引契約は、隔地者において交渉し締結されることが多いが、契約の成立に関して日本民法第526条1項は、
「隔地者間の契約は承諾の通知を発したる時に成立す」と規定し、契約書面の作成を契約の成立要件ちはしていない。

しかし、今日の国際取引においては、迅速なる取引が要求されることも少なくなく、当事者間の意思疎通のための通信手段として
電話、電信、テレックス、ファックスといったものが使用されるが、同時に、こうした手段による意思疎通表示の内容を確認するための
文書を作成して、相手方に送付することが非常に普及しており、こうした場合における確認書の法的効力や当事者の署名の有無が
問題となることがある。


国際売買契約の成立に関して、被申込者の承諾の電信を受けて申込者が契約確認書を作成して被申込者に送付し、
その署名を求めた場合に、それに署名して返送することにより売買契約が成立することになるのかが争われた事例がある。
この事件においては、裁判所は、契約確認書に署名せず返送もしていないので売買契約は成立していないと主張する被申込人の
抗弁を退けて、国際売買契約も、特段の意思表示ないし慣習の認められない限り、当事者の合意のみにより成立する
不要式の諾成契約であり、当事者間に通例交換される契約確認書は、後日における契約の円滑なり履行、紛争発生の際の
証拠の確保等を目的として、既に成立した契約内容を確認するために作成されるものであって、その作成ないし交換は契約成立の
要件にはならないと判示している。この判示事項については、学説においても異論がないところである。




準拠法
(2)ニューヨーク
ニューヨーク州法の下においては、有償契約であれば、その成立には契約書面は必要ではなく、契約書面がなくても有効に成立する。
しかし、無償契約の場合には、契約は成立するが、契約書面がないと法律上恐慌できない。
すなわち、契約書面のない贈与契約の場合、その契約により金品を受贈しても不当利得にはならないが、訴訟により贈与を
強制することはできない。
法律上強行できる無償契約は、法廷の方式を充たす書面(捺印証書)によるものでなければならない。


国際取引契約の場合、その大半は、詐欺防止法により、契約書面を必要とするものに該当するので注意を必要とする。




準拠法
(3)ロンドン
英国法の下においても、ニューヨーク州法の場合と同様、有償契約であれば、その成立には契約書面は必要ではなく、
契約書面がなくても有効に成立する。しかし、無償契約の場合には、契約は成立するが、契約書面がないと法律上
強行できない。すなわち、契約書面のない贈与契約の場合、その契約により金品を受贈しても不当利得にはならないが、
訴訟により贈与を強制することはできない。法律上強行できる無償契約は、法廷の方式を充たす書面(捺印証書)に
よるものでなければならない。 (国際取引法要説より抜粋)































契約の効力の準拠法によるべき問題















有効に成立した国際取引契約により、当事者間にいかなる権利義務が発生するに至かという契約の効力に関する諸問題、
例えば、次のような具体的な問題が、契約の効力の準拠法により解決されることになる。



@契約当事者が負担すべき給付義務の内容になり範囲なりに関連して争われる契約解釈の諸問題


A当事者が契約上の義務を履行しなかったときに、債権者はいかなる救済を与えられるかという契約違反の成否と
 その救済に関連する諸問題


B双務契約における同時履行の抗弁権に関する諸問題



C双務契約における危険負担に関する諸問題 (国際取引法要説より抜粋)






以上で国際取引、国際取引法を抜粋して説明したが、
国際取引による紛争・仲裁の処理問題に関連する法律問題に関しては、
参考資料(日本とアメリカ合衆国との有効通商航海条約・民事訴訟に関する条約・ハーグ送違条約)を解読して、
実務上で対処する事とする。











































































最後に